肝細胞癌の画像検査は肝臓学の醍醐味のひとつであるので新たに章をたてて記述する。基本原則として、肝細胞は門脈血8に対して動脈血2の割合で栄養されている(通常の組織は殆ど動脈血に栄養される)。肝細胞癌(HCC)になると動脈血優位となる。そのためダイナミックCTでは動脈相で高吸収となり門脈相ではwash outされる。こういった動態をする肝細胞癌を古典的HCCという。2007年度の医療水準ではこの原則以外の肝細胞癌も治療可能である。以下にそれを記述する。
ダイナミックCT
末梢静脈から造影剤(3?5ml/秒で総量は100ml位)を急速に注入してCTをとる方法である。
動脈優位相(30秒後)、門脈優位相(80秒後)、平衡相(180秒後)で撮影する。
CTアンギオグラフィー
CTAP:上腸間膜動脈(SMA)から造影剤をいれて門脈造影を行う方法。肝内門脈のみを造影することで動脈支配であるHCCを欠損像として描出する。転移性肝癌をはじめ肝腫瘍性病変に対して、もっとも鋭敏な検査方法である。肝内門脈枝の塞栓も区域性欠損像から容易に診断できる。門脈塞栓、APシャントなど偽病変に注意する必要がある。
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CTHA:肝動脈から造影剤をいれる動脈造影。通常CTHAは早期相と後期相の2相の撮影を行う。CTHA早期相では肝細胞癌は強く造影され、後期相では腫瘍本体から腫瘍周囲肝組織に造影剤が流れ出す像(コロナサイン)がみられる。このコロナサインは肝細胞癌以外ではみられないため、これがあるときは肝細胞癌にほぼ間違いないとされる。
リピオドールCT
血管造影時に肝動脈よりリピオドールを動注し、その1週間から2週間後に単純CTを撮影する方法である。リピオドールはリンパ造影剤のひとつで動注すると一過性に類洞内に停滞する。正常肝細胞では5日程度でwash outされるが、HCCでは集積する。TAE後の腫瘍へのリピオドール集積度合いで効果判定をすることがある。なお、リピオドールと抗癌剤を混濁して使用することが多い。
血管造影
CTアンギオグラフィー(CT angiography;CTA)や経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization; TAE)を行う基本技術である。大まかな流れとしては4Frの血管造影用シースを右大腿動脈にSeldinger法で挿入し、血管造影用カテーテルをSMAに挿入しCTAPや門脈造影を行う。次に腹腔動脈(celiac artery; CA)から総肝動脈(common hepatic artery; CHA)または固有肝動脈(PHA)にガイドワイヤーを使って血管造影用カテーテルを誘導し、肝動脈造影もしくはCTHAを行う。止血は穿刺部と中枢側の2点で15分間圧迫止血し、帰室後6時間で安静解除可能である。血管造影の有名な所見としては腫瘍濃染像(tumor stain)、APシャント、門脈内腫瘍塞栓(PVTT)があげられる。
診断 [編集]
典型的な画像所見および腫瘍マーカーにより診断される。画像検査で診断がつかない場合(胆管細胞癌や転移性肝癌との鑑別など)は組織検査により確定診断される。